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ひまわりとうさぎ大好き

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兎を通して心の癒しになれば

秋の夜長

歌うように優しい言葉で綴られた小説に出会いました。
《海を抱いたビー玉》
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物語の主人公は、心を持った人間と接し「こころ」を成長させていく
1959年製造<いすゞBX341>ボンネットバス(猫バス)

青い海に囲まれた瀬戸内の島、大三島で僕を走らせる運転手親子に愛されています。
僕はもっと走れる自信はあるのに、機械(物)は自分の意志ではどうしようもなく
青い海の色、思い出のビー玉と一緒にポンコツとして売られてしまいます。

僕は草むらで10年間、物置として放置され、心を失いかけ、スクラップ寸前のところ
ごつごつした手で愛おしくボンネットに触る、あの親子と同じ温度ある手
レトロバスを愛する人間に引き取られ、覚醒されます。

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錆びついたところを取り除いていくと骨組みだけしか残りません。その支柱さえも、ボンネットの中はエンジンすらありません。

榎さんの信条でもある「車ちゅうもんは、人間の作ったもんや。ほんならわしにも作れんはずがない」
レストア職人(榎さん)の働き者の手、僕は安心して身をまかせていられます。最後の仕上げの贈り物は元あった位置に床を彫り青いビー玉をすっぽり納めてくれました。
【ミシッ】
その1年2ヶ月の間、榎さんを独り占めにしてきたさまざまな思い出を詰め、心ある人に譲り渡されます。

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次に与えられた仕事は
大震災に見舞われた山古志村へ、キャラバン隊として触れ合いの旅をします。

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「物を大切にしなさい」人の言葉で教え育む事が直接的なのか、それとも物の立場から伝える事が直接的と言うべきなのか分かりませんが
BX341ボンネットバスの語りで、久々素直な子供時代に戻れた気分です。


病気、老齢などで自分の思い通りに動けない人生も
人間は恵まれた環境に生きています。
これは決して当たり前ではありません。
大切な価値に気付くことで前向きになれるようです。

by cyaa8989 | 2009-10-10 21:07

兎を通して心の癒しになれば


by cyaa8989